AI半導体株で10倍株を狙う方法|”次のキオクシア”の可能性がある企業3選

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はじめに

前回の記事では、キオクシアホールディングス(285A)が公募価格から約80倍まで上昇した軌跡を振り返り、「株価が跳ねる前は業績も評価も冴えない局面だった」というパターンを整理しました。

今回はその視点を実際の銘柄選びに応用し、”次のキオクシア”となる可能性を秘めた企業を3社、具体的な業績データとともに深掘りします。共通して見ているのは、①AI・データセンター向け需要への直接的な感応度が高いこと、②供給側(生産能力・シェア)に強みがあること、③現時点でまだ市場の評価が業績の変化に完全には追いついていないこと、の3点です。

この記事でわかること

  • “次のキオクシア候補”を選ぶ際の共通の着眼点
  • 日本マイクロニクス(6871)・アドテック プラズマ テクノロジー(6668)・KOKUSAI ELECTRIC(6525)の事業内容と、AI半導体需要との関係
  • それぞれの直近決算・株価の実際の数字
  • 3社を比較したときのリスクとポジションの違い

“次のキオクシア”を探すときの3つの視点

前回の記事で整理した「キオクシア・パターン」をおさらいすると、株価が本格的に動き出す前には次のような予兆がありました。

  • 業界全体で供給を絞る動き(協調減産)が進んでいた
  • 顧客側の在庫調整が進行し、需給が締まりつつあった
  • AIサーバー向けという新しい需要の担い手が急速に拡大していた

この3つの条件に当てはまりやすいのは、メモリそのものだけでなく、メモリの生産・検査・製造装置を支える「周辺企業」です。装置や検査機器のメーカーは、メモリメーカーの増産・投資再開の恩恵を、メモリメーカー自身よりも早い段階で受けることがあります。この視点から、以下の3社を取り上げます。

①日本マイクロニクス(6871)|メモリ向けプローブカードで世界シェアトップ

事業内容

日本マイクロニクスは、半導体の電気的検査に使う「プローブカード」のメーカーです。特にDRAM・HBMなどメモリ向けプローブカードで世界トップシェアを持ち、2026年第2四半期の売上高に占めるメモリ関連製品の比率は92%に達しています。HBMは積層構造が複雑になるほど検査の難易度が上がるため、HBM4など次世代品への移行が進むほど、同社の技術的な強みが活きやすい構造です。

業績・株価の実際の数字

2026年第2四半期の売上高は189億9,600万円と四半期として過去最高を更新し、前年同期比32.1%増、営業利益は前年同期比44.7%増(直前四半期比では64.9%増)という大幅増収増益を記録しました。上期累計の売上高は331億2,000万円(前年同期比26.6%増)です。メモリ向けプローブカードの売上は、一部製品が前四半期からシフトしたことに加えて第3四半期分の前倒し受注も加わり、DRAM向けを中心に過去最高を達成しました。

株価は2026年7月1日の高値18,180円から調整し、直近(2026年9月9日)は12,760円。年初来安値の7,300円(2026年1月9日)からはすでに6倍近い水準まで上昇しています。時価総額は約5,107億円です。

次のキオクシア候補として見るポイント

3社の中で最も「メモリの需給逼迫」に対する感応度が高い銘柄です。売上の9割以上がメモリ関連という集中度の高さは、業績のブレも大きくなる一方で、メモリ市況が上向くほど直接的に業績へ跳ね返ります。すでに株価は年初来で大きく上昇していますが、HBM4世代への移行という需要ドライバーがまだ序盤である点は、キオクシアの「決算で構造変化が確認され続ける限り評価が切り上がる」パターンに近いと言えます。

②アドテック プラズマ テクノロジー(6668)|半導体製造を支えるプラズマ用高周波電源の隠れた技術覇者

事業内容

アドテック プラズマ テクノロジーは、半導体・液晶の製造工程(微細回路の形成や不要な膜の除去)で使われる「プラズマ用高周波電源」と「マッチングユニット」を開発・製造するメーカーです。半導体メーカーに直接納入するのではなく、国内外の大手半導体製造装置メーカーに部品として供給するB2B構造で、AI・パワー半導体・最先端ロジック半導体向けの製品開発を強化する方針を打ち出しています。「壊れない電源」として業界内での信頼性評価が確立されており、高電圧・大電流を精密に制御する技術力を背景に、規模では劣るものの質と専門性で勝負する”ニッチトップ”戦略を取っています。

業績・株価の実際の数字

時価総額は約323億円と3社の中で最も小さく、PERは18.55倍、PBRは2.46倍、ROEは15.88%です。業績面では経常利益の伸び率が前期比+42.3%と、売上高の伸び(+7.3%)を大きく上回っており、高付加価値品の比率上昇や採算改善が進んでいる可能性がうかがえます(最終利益は一時的要因により-7.8%)。

株価は2026年1月5日の年初来安値1,264円から6月25日には高値4,470円まで急騰し、直近(2026年9月10日)は4,020円で推移しています。

次のキオクシア候補として見るポイント

装置メーカーそのものではなく、装置メーカーに部品を供給する”川上”のポジションにいる点がユニークです。半導体メーカーの設備投資が本格化する前段階から受注が動きやすく、しかも時価総額がわずか300億円台と小さいため、AI・メモリ関連の設備投資サイクルが数年単位で拡大すれば、倍率としての伸びしろは3社の中でも大きい部類に入ります。一方で、最大のリスクは半導体設備投資の波(シリコンサイクル)に業績が直結する点で、売上の大部分が半導体・液晶関連に偏っているため、投資サイクルが後退する局面では反動も大きくなりやすい銘柄です。

③KOKUSAI ELECTRIC(6525)|メモリ向け成膜装置のシェア大手

事業内容

KOKUSAI ELECTRICは、半導体製造装置のうち「成膜」工程(ウエハー上に薄膜を形成する工程)を専門とするメーカーです。マイクロン・テクノロジー、TSMC、サムスン電子など主要な半導体メーカーを顧客に持ち、3次元NANDフラッシュメモリのデバイス構造が複雑化するほど、成膜プロセスの重要性が増す構造にあります。

業績・株価の実際の数字

2026年3月期の通期実績は、売上高2,351億円(前期比1.6%減)、調整後営業利益476億円(同17.6%減)と、実は前期比では減収減益でした。ただし会社の事前ガイダンス(売上高2,300億円、営業利益444億円)は上回っています。内訳を見ると、中国地場向け装置販売の減少をDRAM向けのアップグレード改造サービスの伸びが補う形になっており、サービス売上比率は40%まで上昇しました。用途別ではDRAM向け売上が44%減少した一方、NAND向けは90%増加しています。会社は2027年3月期について、生成AI関連を中心とした半導体メーカーの設備投資加速を背景に「増収増益」を見込むとしています。

株価は2026年7月1日の高値12,220円から調整し、直近(2026年9月10日)は8,630円。年初来安値の4,869円(2026年3月31日)からは上昇していますが、高値からは3割近く下落した水準です。時価総額は約2兆円です。

次のキオクシア候補として見るポイント

3社の中で最も「キオクシア・パターン」の初期段階に近いのがこの銘柄です。直近の決算そのものは前期比で減収減益と、一見すると地味な内容ですが、その裏でNAND向け需要が90%増という急拡大を見せており、経営陣は次期についてAI関連の設備投資加速を理由に明確な増収増益ガイダンスを出しています。これは前回の記事で整理した「業績はまだ冴えないが、経営陣のコメントやガイダンスの表現が先に強気に転じる」局面そのものです。半導体製造装置は、メモリメーカーの投資判断からメモリの量産・出荷までにタイムラグがあるため、キオクシアの決算よりも一歩早いタイミングで動く可能性がある点も特徴です。

3社の比較まとめ

  • 日本マイクロニクス(6871):メモリへの感応度が最も高く、すでに年初来で大きく上昇済み。HBM4移行という次のドライバーが残る
  • アドテック プラズマ テクノロジー(6668):時価総額が約323億円と最も小さく、倍率としての伸びしろは大きいが、シリコンサイクルに業績が直結しやすい
  • KOKUSAI ELECTRIC(6525):直近決算は減収減益だが、ガイダンスは強気に転換。3社の中で最も「キオクシアの急騰前」に近い局面

まとめ

  • “次のキオクシア”を探すうえでは、メモリメーカー本体だけでなく、検査・製造装置・部品といった周辺企業にも同じ需給ロジックが当てはまる
  • 日本マイクロニクス、アドテック プラズマ テクノロジー、KOKUSAI ELECTRICはいずれもAI・データセンター向けメモリ需要の拡大という共通のドライバーを持つが、業績の織り込み度合いと時価総額の規模には差がある
  • 時価総額が小さい銘柄ほど倍率としての伸びしろは大きくなりやすい一方で、業績のブレやシリコンサイクルの反動リスクも大きくなる点には注意が必要

本記事で取り上げた内容は情報整理を目的としたものであり、個別銘柄の購入を推奨するものではありません。半導体関連株、特に時価総額の小さい銘柄は業績・株価ともに変動が大きいセクターです。投資判断は必ずご自身の責任で、最新の決算資料等をご確認のうえ行うようにしましょう。

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